前回の記事で、二学期が始まってもN中を聞き流ししている
中3の娘の現状を書いた。

そんな状態のまま迎えた8月末、
親として分岐点に感じる進路の締め切りがあった。
N中等部に在籍している生徒には、
系列である「N高等学校」の通学コース(リアルキャンパス)へスムーズに進学できる
「内部優先枠」が用意されている。
その申込期限が、8月末にあった。
高校進学という世間一般のレールを考えれば、親としてはかなり魅力的な話に見える。
登校型の普通高校が不安なのであれば、
せめて通信の通学コースにと思うのは親の考えとしては真っ当な気がする。
通常の通学コースなら課されるはずの入試や面接が免除され、
簡単なエントリーだけで枠を押さえられるからだ。
「せめて高校の籍だけでも確保しておいたほうがいいのではないか」
一年前の私だったら、すぐ申し込みしようと娘に言っていたと思う。
娘に尋ねた瞬間に起きた「キャパオーバー」
できるだけプレッシャーを与えないよう、私は娘にフラットな口調で聞いてみた。
「N高の優先枠の申込みが今月末まであるんだけど、どうする?」
娘は頭を抱えて、うーっと唸った。
マンガでしかみたことがないポーズだった。
そして一言。
「まだ考えられない。分からない」
その言葉を口にして、娘は自分の部屋に戻ってしまった。
考えること自体が、今の娘の心にとっては許容量を超える重荷になっていたようだ。
(正直、親としては「キャパ小さすぎでは……」と思わなくもないけれど)
その姿を見たとき、娘は「今すぐには決められない」という状態を選んだんだな、と受け止めた。
「とりあえず高校の籍さえあれば安心」
「週に少し通うくらいなら娘もやれるんじゃないか」
というのは、子どもを心配するから出る親の気持ちであるのと同時に、大人の勝手な都合だ。
通信制であってもレポート提出やスクーリング、面談といったタスクは確実に発生する。
N高の説明会を聞いた印象からも、
今のN中ですらアクセスするのが精一杯な娘に
高校という枠組みを押しつけたところで、苦しくなって動けなくなるのは目に見えている。
何より今までの経験上、どうにか体裁を保つために、
キャパオーバーで動けなくなった娘の代わりに
親が走り回ってフォローする未来がありありと想像できた。
「親が決めた流れ」に乗せようとしては失敗する、
というのを今まで何回も繰り返してきたのだ。
もうそれはやりたくない。
自分で決めきれなかった、とうことを自分の経験として味わう事が必要なのではないかと思った。
そうして、N高への優先枠の申込みを正式に見送った。
高校生にならないかもしれない。いわゆる「中卒無所属」
「高校進学」というレールを手放したからといって、
娘の時間が止まっているわけではない。
普通の中学生であれば、私立推薦なら10月〜11月には内定が出ているし、
都立組だって受験校をほぼ決めている頃だ。
世間のスケジュールと見比べれば、わが家は「取り残されている」ように見える。
現在9月の下旬。進学するかすら曖昧。
高校生にならないかもしれない。
いわゆる中卒無所属だ。
でも学校という集団生活や、
締め切り・課題のプレッシャーから解放された守られた家の中で、
娘のエネルギーは少しずつ、回復し始めているように感じる。

